• 全国大会演奏作品紹介4/5

    Date: 2013.11.09 | Category: NEWS! | Tags:

    こんにちはー!
    全5回シリーズでお届けする、吹奏楽コンクール全国大会で演奏された作品をご紹介するこのコーナー。本日は井澗昌樹「Bye Bye Violet」と、高昌帥『吹奏楽のための交響詩「陽が昇るとき」』をご紹介させて頂きます。

    「Bye Bye Violet」/ 井澗昌樹
    演奏時間:約8分半、グレード:4、レンタル価格:29,000円(税別)

    今年の全国大会では、泉シンフォニックウィンドさんが演奏されました。

    現在、CAFUAレンタルライブラリーでお取り扱いしている唯一の井澗作品。「喪失」を第一のテーマに、「気紛れな哀しみ」や「手の届かない美しさ」なども描き出しています。

    なぜ”Violet”なのか? それは、考えるにとても価値のあるテーマです。
    “Violet”からイメージするモノ・コト…ヴェルディの歌劇「椿姫」、その悲恋。すみれの花、すみれの色。紫色、むらさき。日本人もまた、古来より「むらさき」の色やことばに私的な意味合いを込めてきました。
    このようにこだわりを持って選んだ”Violet”です。「もし諸事情によりカタカナでタイトルを表記する際には、必ず“バイオレット”ではなく“ヴァイオレット”と表記して欲しい」と井澗氏は話しています。

    「喪失」「哀しみ」「美しさへの憧れ」に、激情に翻弄され、絡まり合うリズム、エネルギーの昇華・解決という展開が1曲の中につまっています。
    演奏する人それぞれに、どんな結末が待っているのかを見出して頂きたい作品です。

    井澗昌樹”Bye Bye Violet”は、こちらのCDに収録されています。

    ティンパニ協奏曲
    酒井格 ティンパニ協奏曲
    指揮:若林義人
    演奏:龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部

    ティンパニ独奏には中谷満氏を迎えての、ライブ演奏を収録したディスクとなっております。

    それでは次の曲に参りましょう!

    『吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」』/ 高昌帥
    演奏時間:約30分(全楽章通奏時)、グレード:4~5、レンタル価格:48,000円(税別)

    広島市立安佐中学校さん、大津シンフォニックバンドさんが演奏されました。

    4つの楽章からなるこの作品、それぞれの楽章が別々の委嘱を受けて作曲されたという経緯があります。第3楽章となる曲は関西大学応援団吹奏楽部の委嘱、第4楽章となる曲は、宝塚市吹奏楽団の委嘱で作曲されました。
    先にこの二つの曲が出来た時点で、高氏はこれらを含む交響組曲の構想を思い立ち、後にウィンドアンサンブル「一期一会」と創価学会関西吹奏楽団からの委嘱を受けて、第1楽章・第2楽章になる作品を作曲しました。
    このように出自も作曲時期も異なる作品が並ぶことになるわけですが、それぞれの作品に共通する音楽素材を用いることで、全体の統一を図っています。

    総奏による激しい表情とフルートソロが率いる叙情性が印象的な第1楽章「衝動」から、
    リズムが常に不安定で諧謔的(スケルツォ)な性格を持つ第2楽章「情緒」
    安らかでノスタルジックな金管のコラールとメロディアスな部分を持つ第3楽章「祈り」
    ソロ楽器の弱奏から終楽章らしい昇華を見せる第4楽章「陽光」まで。

    一つ一つの楽章が独立した楽曲でもあり、それぞれにキャラクターのある作品群ではありますが、『吹奏楽のための交響詩「陽が昇るとき」』としてのまとまり、起承転結を表現するにはやはり4つ全ての楽章が必要でしょう。

    コンクールのような場では全楽章通奏するわけにはいかないと思いますが、高氏は自身の作品に対し「カット等の編曲は、演奏団体の責任者に判断をお任せする」と話しているところですので、「長いから」という理由で候補から外す必要はありません。
    ぜひ、前向きに演奏を検討してみて頂きたいと思います!

    高昌帥『吹奏楽のための交響詩「陽が昇るとき」』は、こちらのCDで聴くことが出来ます。

    陽が昇るとき
    高昌帥 吹奏楽のための交響詩「陽が昇るとき」
    指揮:小澤俊朗
    演奏:神奈川大学吹奏楽部

    2006年の定期演奏会を収録したライブディスクとなっております。

    次回は、新譜および今後お取り扱い予定の作品をご紹介する予定です!
    どうぞ、お楽しみに♪