• アンサンブル紹介リレー・その7

    Date: 2012.08.08 | Category: アンサンブル紹介 | Tags:

    こんにちは、楽譜事業部の高橋です。
    今週はサクソフォンアンサンブルを集中的にご紹介しております。
    本日はこちらの作品!

    三つの富山県民謡
    CEM-027
    「三つの富山県民謡」/ 秋 透(サクソフォーン四重奏)
    5,250円(税込)

    三つの富山県民謡には、
    「おわら節」「こきりこ節」「麦屋節」が取り上げられています。

    第1楽章:「おわら節」
    おわら節には現在、ある決まったメロディーに対し3000以上の歌詞があるということで、おわら節の歌詞といえばこれ!とご紹介することは難しいのですが、字脚は「7,7,7,5」の26文字からなり(甚句形式というそうです)、最後の5文字の前に「オワラ」を入れる、という基本ルールがあります。
    この楽曲では、秋氏の手により民謡のメロディーが当世風に、またサクソフォンアンサンブルで映えるようにアレンジされています。

    アレンジ後のサウンドを一言で表すと…「繊細・美」(楽譜担当の個人的感想です)。
    なにかひらひらとしたものが舞うさま、なにかがきらきらと光るさま、農耕作業を思わせるリズムから、きわめて日本的な山間の農村や、里山の風景を思わせます。

    第2楽章:「こきりこ節」
    「こきりこの竹は七寸五分じゃ」と、こきりこ節の歌詞にも歌われる「こきりこ」は、歌詞にある通り七寸五分(約23cm)ほどの竹製の打楽器で、一組二本のものを両手に一本ずつ持って打ち鳴らします。108枚のひのきの板をつづった「ささら」という楽器は、見た目も音も特徴的で、楽器として演奏する以外にも「108枚のひのき板で煩悩を払う」といって、厄除けに床の間に飾られることもあるようです。

    音を聴いての印象は「哀愁ただよう」そして「子守唄のよう」
    なんとはなしに物悲しく、語りかけるようなメロディとハーモニーが印象的で、そのなかにある少しコミカルなリズムが面白く、フレーズの終わりの「ででれこでん」という囃子言葉も、つい口ずさんでしまいそうです。

    第3楽章:「麦屋節」
    麦屋節は富山県の五箇山に伝わる代表的な民謡で、歌いだしが「麦や菜種は…」だったことから、「麦や(麦屋)節」と呼ばれるようになりました。五箇山は平家の隠れ里ともいわれ、一時は栄盛を極めた平家の、その後の悲しい運命を唄に託しうたい踊ったものとされています。哀調ある歌詞と速く軽快なテンポ、踊りは勇壮で力と活気に満ちており、それらの対比と調和が麦屋節固有の心地よい緊張感を生み出しています。

    アンサンブルでも、速くリズミカルな部分と中間部に落ち着いたメロディアスな部分を設け、聴き手を飽きさせない作りとなっています。

    全体を通して言えることは、サクソフォンアンサンブルと民謡の相性の良さです。
    意外性も、実際に音にしてみてのコンビネーションの良さも非常に素晴らしく、また音楽に明確なキャラクターがあるため、必ずや聴衆の注意をひきます。

    秋透氏編曲のサクソフォン四重奏「三つの富山県民謡」は、こちらのCDに収録されています。
    むかしの歌
    CACG-0127
    むかしの歌~Chanson d’Autrefois / 雲井雅人サックス四重奏団
    2,800円(税込)

    ファンからは親しみをこめて「雲カル」と呼ばれるサックス四重奏団の、愛奏曲集となっております。ぜひ併せてお楽しみください。

    楽譜事業部 高橋