静岡市に生まれる。武蔵野音楽大学作曲科を経てアメリカ・イーストマン音楽院大学院を修了。その後ロスアンジェルスに移り現代音楽とフィルム・スコアリングの研鑽を積み、シアターピースの音楽監督兼ピアニストとしてキャリアをスタートさせる。アメリカにおいて、ウインドアンサンブルの作品「Antiques」がハワードハンソン賞、マリンバのための作品「プレリュードとフーガ」がPAS賞を各々受賞する。
帰国後母校で教鞭をとりつつ作曲活動をスタートさせる。作品は「Three Echoes of Ancient Beats」(サキソフォンと打楽器アンサンブル)、日本のメロディーによる3つのエチュード(木管五重奏)「ターンブルマーチ」(1993年全日本吹奏楽コンクール課題曲)、序曲[希望岬にて」(吹奏楽)等のほか、映画、テレビ音楽(うる星やつら、キン肉マン、ウルトラマングレート、トラップ一家物語、銀河英雄伝説、旅の好きなあなたに「NHKみんなのうた」、またシアターピースとして「今様膝栗毛」(2009国民文化祭オープニング)などがある。 現在、武蔵野音楽大学作曲科教授。日本音楽著作権協会、日本作曲家協議会会員。
私たちにとっての「希望岬」とはどこだろう? そこは実際にある地名ではなく私たちの心の奥底にある場所で、いわばユートピアのようなところです。
我が国は四方を海に囲まれています。「海」という言葉を聞く時、北国の波の渦巻く激しく荒々しい風景を想像する人もいるでしょう。また様々に汚染された茶色の水をたたえた景色を想像する人もいるでしょう。でも私にとっての「海」という響きには、透きとおったコバルトブルーに輝く大海原と、そこに暮らす暖かくおおらかな人々の生活の風景がまず頭をよぎります。そこには大地があり、唄があり、踊りがあり、元気で暮らす人達がいます。
また、最近では海を通して接している国々との交流も以前にも増してが活発になり、時にはむずかしい問題に直面することも多々あります。でも私たちにとっては切っても切り離すことが出来ないものが海と大地の景色です。
わたしたちの心の中には、ある時には元気いっぱいの、ある時にはさみしがりやの自分がいます。そんな時わたしは、おおらかな、しかし強い気持ちを抱いて「希望岬」に立ちたいと思っています、そして自分の行く末を思い、子供達の成長を思い、人々の平和な暮らしを願う。そんな気持ちにさせてくれる場所があれば、そこが私にとっての「希望岬」なのです。
曲は沖縄をはじめとする南に広がる海の風景と、そこに暮らす人々の生活をテーマに作曲しました。(川辺 真)