Archive for the ‘ソロ楽譜紹介’ Category

  • 【本日発売!マリンバソロ楽譜】

    Date: 2021.03.15 | Category: NEWS!, ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    皆さまこんにちは!
    昨日のホワイトデーは、いかがお過ごしでしたでしょうか?
    CAFUAレコードからは、本日無伴奏のマリンバソロ楽譜を発売させて頂く運びとなりました!

    ◆川辺真作曲”Ever Green for solo Marimba”

    この作品につけられた解説にもありますが、作曲者川辺氏にとってマリンバは特別な存在感の楽器であるということで、他にもマリンバを含む3重奏曲「森の精霊」(アルトサクソフォーン、マリンバ、ピアノ)や、マリンバを含む5重奏曲“Three Echoes of Ancient Beats”(サクソフォーン、マリンバ、ストリングベース、打楽器2パート)などをすでに出版させて頂いております。

    混成3重奏曲「森の精霊」はコチラ
    混成5重奏曲“Three Echoes of Ancient Beats”はコチラ

    今回は、満を持して(?)純然たるマリンバソロの楽譜を出版させて頂くことになりました。
    通して演奏すると20分ほどになり、なかなかにボリュームのある作品なのですが、和音の色の変化、リズムの変化、スピード感の変化や、対位法的に分かれてはまた合わさるメロディラインに意識を向けて味わってみれば、それはまさにエヴァーグリーン。
    生き生きとして聴く者を飽きさせない、豊かな緑の世界が広がります。

    それは深い木の響きを持ち合わせた、マリンバという楽器が得意とするところ。
    試聴音源が現在準備中で、すぐにお聞き頂けないのが残念ではございますが、準備が整い次第またご案内をさせて頂きます。

    昨年から連なるソロ楽譜のシリーズで最初の打楽器レパートリーとなったこの作品を、ぜひ沢山の方にお楽しみ頂ければと思います!

  • 【本日発売!朴守賢ソロ楽譜】

    Date: 2021.02.25 | Category: NEWS!, ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    こんにちは!
    昨日のCDリリースに続き、本日はソロの楽譜が2曲発売となりますので、本日はこちらをご紹介していきたいと思います♪


    ◆朴守賢作曲「石積みの歌」

    ソロ楽器の表記が“ソロ”になっている時は、楽器の指定がなく、お手持ちの楽器で演奏できるとお考え下さい。もともとは中国の伝統的な管楽器“巴烏(ばう)”とピアノ伴奏のために書かれた作品でした。

    この作品が生まれた経緯は、解説文の中で作曲者自身により詳しく語られています。
    詳細ページでは、全体で約7分の作品のうちごく一部を試聴することが出来ますが、一種異様なハーモニー、独特の旋律線、重く矯めて粘ったポルタメントや空気感などは感じて頂けることと思います。

    それが、なんとなく「難しい」という印象になってしまうかもしれませんが、この作品が“どのようにして生まれ”“なぜこのようであるのか”を考えながら向き合ってみれば、難しさの謎が少しずつ解けていくのではないでしょうか。


    ◆朴守賢作曲「Another Crossroads」

    こちらはソロクラリネットとピアノ伴奏のための作品となっております。こちらもこちらで少し変わった雰囲気の作品ですが、先の「石積みの歌」とは全く毛色が違います。

    解説の中にあるように「日常と非日常」「パラレルワールド」を思わせる不思議な世界観を持ち合わせた作品なのですが、非日常にせよパラレルワールドにせよ、「普通の世界に似ている」「けれどどこか違う」からこそそう感じられるのであって、「まるで別世界!」という振り切れたキャラクターなら、こんな風には感じられないのではないでしょうか。

    ここからは作曲者の意図ではなく出版する私共の考え…イメージのようなものになりますが、1年以上前から続くコロナ禍の状況で、日常の変容が求められているけれどなかなか簡単には意識から変わっていけない、そんなところで「世界の形には無限の可能性がある。例えばこのように」という感じでひとつの提案をさせて頂く。
    そういったメッセージもお届け出来る作品ではないかと思っています。

    曲の最後はアドリブでフェード・アウトして終わっていきます。
    この曲の録音はレコチョク等で配信購入して聴くことが出来ますので、曲全体を聴いてみたい方はぜひ探してみて下さい!

  • 【本日発売!バスーンソロ楽譜】

    Date: 2020.12.24 | Category: ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    皆さま、今年のクリスマスイブはいかがお過ごしですか?
    CAFUAからは、初めてのバスーンソロ楽譜を発売することになりました!

    ◆朴守賢作曲「響蘊」

    ◆天野正道作曲「プーランクの墓」

    この2曲、内容・難易度ともに、あえていえば「上級者」というか「ほぼプロ向き」。
    既存のレパートリーはほぼ演奏しつくした!という方にぜひご注目頂きたい作品です。

    朴守賢氏の「響蘊」は、バスーンの現代奏法スペシャリストである中川日出鷹氏から数々のアドバイス・イマジネーションを得て生まれた作品で、微分音や指定された運指によるマルチフォニック奏法等をはじめとする現代奏法を駆使した作品となっています。
    様々なタイプの作品を書きながら、「ベースは現代音楽にある」という朴守賢氏によれば、「現代音楽」の枠組みの外からは一見特殊に見えるこの作品も、ことさら奇を衒ったり新しさを追求したものではなく、むしろ普遍性を追い求めている…つまり、
    本質は“特殊”とはほぼ真反対の性質、ということになりますね。
    そういった作曲者のバックグラウンドも踏まえ、解説に見える思想なども汲み取りながら、矯めつ眇めつ吹いてみて頂ければと思います。
    一緒に曲に向き合ってくれるピアニストの存在も重要です!

    天野正道氏の「プーランクの墓」は、タイトルからしてちょっとしたシャレであり、解説にはこの作品が生まれた愛すべきエピソードも紹介されています。
    4つの楽章からなり、プーランク風に始まって第3楽章までには混沌を極め、第4楽章は翻ってリズミカルで颯爽とした音楽になっています。
    ファゴット奏者水谷上総氏のCD「ファゴッティーノ-フランス作曲家によるファゴット作品集-」にその演奏が収録されていますが、一番気になる第3楽章は収録されていません…
    代わりといっては、かなりアレですが、ユーフォニアムの外囿祥一郎氏のアルバム「アスピレーションズ」で、ブリティッシュブラスバンドを伴奏に従えた演奏を聴くことが出来ます。

    【CD】外囿祥一郎(Euph.)「アスピレーションズ」
    http://www.cafua.com/products/detail108.html

    実は、アスピレーションズシリーズの2は売り切れてしまっているんですが、1枚目のこちらはまだご購入頂けます!また、いくつかの配信サービスを利用して聴いて頂くことも出来ます。

    大変な一年の締めくくりに、大変な楽譜を2曲も発売させて頂くことになってしまいました(笑)
    「プロ向き」とは申しましたが、興味を持たれた方はどなたでも、まず楽譜を見てみて、あるいは聴いてみて、少しずつ音を出して楽しんでみて頂ければと思います。
    もちろん初めから、演奏披露する!という意気込みで入手して頂くのも大歓迎です。
    皆様どうぞ、良いクリスマスを。
    Merry Christmas!

  • 【明日発売! ソロ楽譜3曲のご紹介】

    Date: 2020.11.25 | Category: NEWS!, ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    こんにちは!暦の上ではすでに冬ですが(汗)、まだかろうじて秋といえるこの時期に、ご紹介したかったソロ楽譜3曲が明日発売となります!
    本日もどうぞお付き合い下さいませ。

    ◆福田洋介作曲「秋の穂 刈干切唄による奇想曲」

    題名にストレートに“秋”が入ったこちらの作品、“穂”は“みのり”と読みます。ソプラノとアルト、2種類のサクソフォーンを持ち替えで使用し、宮崎に伝わる民謡“刈干切唄”を素材に用いた変奏曲です。
    もとが民謡ということもあって、一般的な拍子の枠組みにあてはめて捉えるのは難しいのですが、そこはアレンジの力で少し寄せて分かりやすく、時には本来の“自由なタイム感”側に寄せてみたりと、そこに新たなゆらぎの面白さが生まれています。
    変奏曲とあって、一つの素材に複数のハーモニーやリズム感が与えられているのを味わうのも楽しい作品です。

    ◆松下倫士作曲「Magic hour」

    無伴奏のトランペットソロ曲です。こちらの作品は…タイトルに、「秋」というワードこそありませんが、実はこの”Magic hour”という言葉が「日の出の直前や日没直後のわずかな時間」を表しています。
    夕暮れが印象的な季節といえば言わずもがなの秋!「秋は夕暮れ」ですから^^ この作品も、冬本番に突入してしまう前にご紹介したい作品でした。
    「秋の」「日没直後のわずかな時間、夕暮れ時」といえば、印象的な美しさのイメージもありますが、ゆっくり見ていたい、味わいたいという気持ちに反して「並より短い!(残念)」という要素もありますよね。
    美しいから、ゆっくり見ていたいから、短く感じられる部分もありそうですし、実際に「夕暮れ時」と呼べる時間が短いのかもしれません。
    曲は「1.美しさ」「2.怖れ」「3.悦び」の3つの部分に分かれており、通奏すると6分半ほどになります。
    仮に、朝な夕なのMagic hourが6分半だったとしたら…どうですか?
    まぁそれは、少し短すぎるかもしれませんが、実際のその景色を沢山見て、心の中にもイメージを思い描きながら、演奏してみて頂ければと思います。

    ◆清水大輔作曲「素晴らしき人生」

    こちらは、タイトルや作曲の意図に秋は含まれていないのですが…
    秋が似合う^^ということで、この時期に出版の運びとさせて頂きました。
    その表情は素朴で、はじめは少し物寂しく、中間から後半はピアノの輝きと共にのびやかに歌い、最後は後に何かを託すように静かに消えていきます。

    解説文中に「日々の生活を送る中でちょっとした事に感動したり幸せに思う瞬間、この時私は自分という人間が歩んできた人生にとても感謝と幸福を思うのです。」という作曲者の言葉があります。
    このように思い感じる時を、もしも季節に例えたら、春夏秋冬のうちいつになるでしょうか。
    人生の実り(みのり!)を受け取り、こうべを垂れて全身全霊が感謝に満たされる時は、それは“秋”がもっとも相応しいように感じられます。

    こうして3曲並べてご紹介してみますと、今回は特に「繊細な感性」に訴える作品が多かったように思います。
    一年の中でも、秋は普段以上にロマンティックだったりセンチメンタルだったり、繊細な感性に一歩深く踏み込める良いチャンス!
    より深い表現に到達できるよう、いろいろな作品に触れてみて下さいね♪

  • 【本日発売! 野呂望ソロ楽譜】

    Date: 2020.10.29 | Category: ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    皆様こんにちは!晩秋の候、いかがお過ごしですか?
    本日は、ようやく空気も澄んで天は高く、秋らしくなってきた今の時期にぴったりの作品をご紹介致します♪

    ◆野呂望作曲『フルートとピアノのための「エチュード・ファンタジック」』

    ◆野呂望作曲『クラリネットとピアノのための「エチュード・ファンタジック」』

    もとはヴァイオリンとピアノのために書かれた作品でしたが、この度フルート版とクラリネット版を出版させて頂くことになりました。

    「1.ラヴェルの名によるパヴァーヌ」と「2.タランテラ」の2曲入りで、演奏時間は通奏で8分ほど。パヴァーヌもタランテラももとは舞曲ですが、1曲目のパヴァーヌはゆったりとした歩みを思わせる流れの中に何とも言えない透明感が漂っています。「ラヴェルの名による」とある通り、“RAVEL”の5文字にそれぞれ音を当てはめたモチーフが、基本形・反行形・逆行形と変化させながら曲中に散りばめられています。
    楽譜では“RAVEL”のモチーフの箇所にそれを示す表記があるのですが、実際演奏してみながら響きで感じ、繰り返しラヴェルの名を呼ぶようにじっくりと味わってみて頂きたいと思います。

    ゆっくりしたパヴァーヌと対比して置かれた「2.タランテラ」は急速な6/8の音楽で、作曲者が解説中で言っているように“無窮動”的ですが、ソロはところどころに休みも配置されていて“意外と優しい♡”という感じもあります。前半は短調(f moll)ですが、中間から長調(F dur)に転調し、1曲目のRAVELの旋律も回帰して明るく晴れ晴れとした、華やかなエンディングを迎えます。

    RAVELの旋律はまずピアノのパートで再現されますが、その部分、わたくしの個人的な感想ですが、聞くたびにフィギュアスケートのステップシークエンスを見ているような感じを覚えます。フィギュアのステップシークエンスも、プログラムのどこに入れるかいくつかパターンはあると思うのですが、中間から後半に入っていることが多いですね。
    前半やってきて、体力等大変な部分もあるけれど、ここぞとばかりにエネルギーを発散して踊りきる、吹ききる。その様はまるで生命がその光を燦然と放つようである。そんな印象が似ていると感じます。

    また、オリジナルがヴァイオリンソロの作品ということで、曲中にあるソロの“スタッカートの音”は、本来ピチカートで演奏されるものが多数ありました。
    今回管楽器のためのソロ楽譜となり、楽譜上に「ピチカートの様に吹いて」という指示もないのですが、奏者の方が「もしかしたらこれはピチカートだったかもしれない」と想像しながら演奏して下されば、生まれてくる音楽も一層表情豊かなものになることと思います。

    フルート版とクラリネット版、それぞれどんな内容かお聞き頂ける、デモ音源動画をCAFUAのYoutubeチャンネルにご用意しました。

    フルート版 https://youtu.be/1W1YkY7YgvI

    クラリネット版 https://youtu.be/RzwNwMdOYvo

    ノーカットフルサイズでお聞き頂けますので、ぜひ見てみて下さいね♪

  • 【明日発売! 天野正道ソロ楽譜2/2】

    Date: 2020.10.14 | Category: ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    今日の紹介文はちょっと長くなりすぎて(笑)、改めて2曲目の方ご紹介させて頂きますね!

    ◆天野正道作曲「フリュートとピアノのための小品第1番」

    なんとこれが、高校生の頃の天野少年が「初めて委嘱を受けて書いた作品」とのことで…
    「天野先生は若い頃、まだティーンの頃など、どんなふうに過ごしていたのだろうか」そんなことを知るよすがとなる作品ですね。
    解説中に、『それと知らず「移調の限られた旋法第2番」(またの名をコンビネーションディミニッシュ)の音階を使っていた』とあります。
    音階の名前は知らなくても響きは知っていたんだなと、そんなところにもフツウではないことの一端が現れていますが(汗)、この音階について少し考えてみたいと思います。

    「移調の限られた旋法」の体系を整理し、名前をつけたのは、20世紀フランスの作曲家であるオリヴィエ・メシアンです。その体系のなかで、「移調の限られた旋法」は7つの種類があり、2番めの旋法は「コンビネーションディミニッシュスケール」または「ドミナントディミニッシュスケール」とも呼ばれて、ジャズシーンなどで多用されています。

    「移調の限られた旋法第2番」の特徴は何か?
    こういうことは、沢山の人から多様な見方を集めてみるのがおもしろいと思うんですが…いくつか挙げますと、
    ・主音から上方へ、半音と全音のインターバルを繰り返し、1オクターブに8つの音を含む
    ・キーの種類は3種類
    まずこんなことが言えます。

    「キーの種類が3種類」とはどういうことかと言いますと、例えば長調なら12種類(異名同音調を除く)あるけれど、全音音階は2種類しかない。という意味合いで、この第2番の旋法は3種類が存在しているということなんですね。
    「キーの種類が12種類ない」ということが、つまり「移調が限られている」ということのようです。

    こう聞いたら、ちょっと、五線に書いてみたいじゃないですか?この音階を(笑)
    でも、実際書いてみたら、微妙にやさしくないんですよ。なんとか、書くも分かりやすく、見ても分かりやすい譜例を考えたい…としばし悩んだのち、また別の特徴に気付きました。

    ・この音階の構成音は、隣り合う二つの減七の和音(ディミニッシュコード)の構成音と同じである。

    つまり例えばこう、

    この二つの和音の構成音は重複していませんね。
    これを音階状に並べると、

    こうなります。

    音階3種のうち、1種類が書けました!
    この例はかなり分かりやすくなったと思うのですが、いかがでしょうか。

    音階の話ばかりして作品の話が出来ていないようですが、作品で使われている音階を知ることは、その作品のベースとなる雰囲気や色味を知ることにもつながると思うので、かる~い気持ちで読んでみて頂ければと思いながら書いてみました^^
    実際に音を聞いて知るという方法もありますね。ジャズ系なら、この音階を使った格好いいフレーズの音源が多数見つかりますので、興味のある方は検索してみて頂くのも良いと思います。

    この作品も楽譜の詳細ページにMIDIのデモ音源をご用意しておりますが、途中かなり速い部分があります。でも実は、音源の音が潰れてしまうのを回避するため、楽譜の指示よりも少~しだけさらに遅くしてあるんです(‘Д’)!!

    CAFUAのCDではないのでアレですが、フルーティスト・福島明佳さんの「Fluctus フラクトゥス~天野正道作品集~」(キングレコード NKCD-6864)に、この「フリュートとピアノのための小品第1番」だけでなく、「交響組曲第3番“GR”より4楽章 フルート&ピアノ版」、さらにフルートトリオの「アリエッタ」も収録されていますので、もし宜しければこちらで聞いてみて頂くのもよろしいかと思います。

    というわけで、明日10月15日発売となる天野正道作曲のフルートソロ楽譜を、2つの投稿に分けてご紹介させて頂きました!
    いつも文章が長くなってしまいましたが、最後まで読んで下さり誠にありがとうございます。
    今回ご紹介した作品でこの秋も充実させて頂き、また今後続いていくソロ楽譜のラインナップにもご期待頂ければと思います!

  • 【明日発売! 天野正道ソロ楽譜1/2】

    Date: 2020.10.14 | Category: ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    こんにちは!いつしかすっかり涼しくなってしまいましたね。
    夏のアンサンブル新譜発売を経て、ソロ楽譜のシリーズを再開していきたいと思います!
    本日は、明日10月15日発売となる、天野正道作曲のフルートソロ2作品をご紹介していきます♪

    ◆天野正道作曲「交響組曲第3番“GR”より4楽章 フルート&ピアノ版」

    あーもう言わずと知れた”GR”の名旋律が、天野氏と特に縁深いフルートのソロ楽譜となって、
    いつでも買って演奏できるようになったわけですね^^

    ソロフルートばかりにメロディがあるのではなく、ピアノが主旋律を受け持つ部分もあり、そんな時フルートはそよ風のような装飾を奏でていたりして、そういったメロディの受け渡し、役割の入れ替わり、コンビネーションもこの楽曲を奏でる楽しみのひとつになっています。

    ところで、この作品はもともと管弦楽や吹奏楽の響きを想定して書かれた音楽があって、その全てをフルートとピアノの二人だけで奏でようというのですから、多少頑張らないといけない部分はあります^^;;
    特にピアノパートは、声部の繋がりを明らかにするための記譜になっている部分が多いですし(1本の五線に上向きと下向きの音符が同時に書かれているなど。バッハのシンフォニアのような多声音楽の楽譜を想像して下さい)、壮大な響きを再現するために、「これ腕2本、指10本で弾けるのかな?」と一瞬考えてしまいそうになっている部分も何箇所かあります。
    実は出版準備中にも、楽譜担当者の立場から「これ大丈夫でしょうか?」と天野先生に聞いてみたんです。

    そうしたら天野先生は「今まで何人も弾いてきたから大丈夫!」とおっしゃりつつも、弾き方に迷ってしまうかもしれないピアニストのために、少しヒントを追加して下さいました。
    それが、楽譜中ところどころに記された”m.d.”、”m.g.”の指示です。

    “m.d.”は”main droite(マン・ドロワト)”の略で「右手」、
    “m.g.”は”main gauche(マン・ゴーシュ)”の略で「左手」という意味になっています。
    さすがのフランス語ですね~!

    大変さも多少ありますが、それよりもオケや吹奏楽のサウンドをイメージしながら、柔軟な心持ちで、この気持ちいい〜音楽を楽しんで頂ければと思います。奏でる人も聴く人も、どうかこの作品とともに清々しい時間をお過ごし下さい!

    本当は、2曲同時発売なので2曲ご紹介したいところなのですが、どちらもかなり長い文章になってしまいましたので、次の曲紹介は改めて投稿させて頂きます!
    どうぞお楽しみに!

  • 【好評発売中♪ 福田洋介ソロ楽譜】

    Date: 2020.07.30 | Category: ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    皆様こんにちは^^ 本日も、前回に続きソロの楽譜をご紹介させて頂きたいと思います!
    7月16日に発売となった福田洋介さんの新譜3曲と、それに先立ち6月に発売された1曲、合わせて4曲をご紹介していきます。
    「ソロはどんな楽器でもOK!」という作品もありますので、最後まで見て頂けましたら幸いです。

    ◆福田洋介作曲「Azure Park」(A.Sax.&Pf.)
    [演奏時間:約9分、税抜4,000円]

    Azureという単語、ご存知でしたか? 英語なんですが、“青空色”という意味です。
    色鉛筆や絵の具の色では、“空色”と“水色”というよく似た色があって、むしろ入っているならどちらか一方、名称はメーカー次第…という感じもありますが、ここでは“空のいろ”として思い浮かんだ色のイメージを大切にとっておきましょう。Parkはいわゆる公園です。

    作品のテーマとなっているのは、「青い空」「公園」「子どもたち」…そして、それを見ている視点、大人の視点です。
    変拍子があり、急激で大きな音楽の変化がある。その内容は、予想出来ない子どもたちの動きや行動そのもの、それに驚き翻弄され、新たに世界を見出す大人たちの感動でもあります。
    身近に子どもがいる、あるいはいたことがあるという方には、一層ある種のシンパシーを感じて頂けるのではないでしょうか。

    3つの部分に分かれた構成になっており、初めは変拍子で活発、中間は少しゆっくりと感慨にひたれそうなバラード、3つめのパートはラテンビートの急速なダンスで、最後は遊び疲れて急に寝入ってしまうような音楽になっています。
    もとは2本のサクソフォーンとマリンバのための作品だったということなのですが、ソロSax.とPf.伴奏版の初演動画をシェアして頂きましたのでぜひご覧下さい^^

    「Azure Park」サクソフォーン:宍戸陽子 ピアノ:遠藤龍軌
    https://youtu.be/VUQCtDHkJu0

     

    ◆福田洋介作曲「ソナタ・カフェ」(Cl.&Pf.)
    [演奏時間:約17分、税抜5,000円]

    つづいてはクラリネットとピアノのための作品。ソロと伴奏というよりは、クラリネットとピアノのセッションとか、アンサンブルという感じが強い作品です。
    内容は4つのパートに分かれており、全編スウィングの“1.Cross Talk”、深い祈りを込めた“2.Grace”、クラリネットとピアノがそれぞれにひとりごつ“3.Soliloquy”がしばらく続いた後に、いきなり“4.Dance”が始まるという刺激的な内容になっています。
    クラリネットとピアノ奏者の、遊び心ある良いコンビが組めたら、ぜひ取り組んでみて頂きたい作品です。
    作曲者である福田洋介さんのYoutubeチャンネルで、実演録音を聴くことが出来ます。

    fukudayosukeチャンネル
    https://youtu.be/I571uXNdef8

     

    さて、福田洋介さんの代表作といえば…「さくらのうた」でしょ!という方も沢山いらっしゃると思います。ここで、あの「さくらのうた」にゆかり深い作品を2曲ご紹介したいと思います。

    ◆福田洋介作曲「楓の詩」(Solo&Pf.)
    [演奏時間:約5.5分、税抜3,600円]

    さくらは春、楓は秋の風物ですね。「さくらのうた」は、2012年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲でしたが、こちらの「楓の詩(うた)」はそれに先立って作曲されました。つまり、“楓”あっての“さくら”、「さくらのうた」はこの「楓の詩」のアンサーソングだったわけですね。
    「楓の詩」も初めは吹奏楽作品だったということなのですが、今回はピアノ伴奏つきソロ器楽曲として、またソロ楽器は“お手持ちのどんな楽器でもOK!”ということで、ソロ譜をin Cの楽譜でご用意しています。
    「もしソロパートをA.Sax.で演奏してみたらどうなるか?」がよく分かる、ソロ版初演時の動画(Solo A.Sax.&Pf.)をこちらでご覧頂けます。

    「楓の詩」サクソフォン:松下洋、ピアノ:黒岩航紀
    https://youtu.be/5-z5E-ixaxs

    ソロだけじゃなく、ピアノパートも素敵なんですよ~~!
    また、「自宅で、一人でも」もっと楽しんで頂けるように、ソロパート抜きの伴奏デモ音源も用意してみました!

    「楓の詩」マイナスワン伴奏音源
    https://youtu.be/xFGBlU5pV3o

     

    では、最後にもう1曲!

    ◆福田洋介作曲「夜桜」(Solo&Pf.)
    [演奏時間:約6分、税抜3,600円]

    こちらは、桜は桜でも、夜の桜。弱奏により、桜花の儚さが際立って感じられる作品です。弱奏を得意とする楽器といえばクラリネット! こちらの動画で、雰囲気をじっくりと聞いてみることが出来ます。

    「夜桜」クラリネット:山内利紗、ピアノ:山内すみえ
    https://youtu.be/gmO4dWiGQ8k

    この作品も、ソロ楽器はオープンとして、楽譜はin Cでご用意させて頂きました。管楽器にとどまらず、打楽器、弦楽器、その他、視野を広げながら、いろいろな楽器で演奏してみて頂きたいと思います!

    今日も文字ばかり、ちょっと長かったですが、最後までお読み下さり誠にありがとうございます。
    「さくらのうた」ファンの方には、ぜひ、最後にご紹介した「楓の詩」と「夜桜」に、お好きな方からチャレンジしてみて頂けたらと思います。
    そして、ソロのための作品をこれまでになく沢山ご紹介させて頂きましたが、安全を第一としつつも、一日も早く仲間との楽しい吹奏楽の時間、聴衆と感動を共有できる時間が戻ってくることを、私達も切に願っています。

  • 【好評発売中♪ 井澗昌樹ソロ楽譜】

    Date: 2020.07.27 | Category: ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    皆さまこんにちは!心配事の多い今日この頃ですが、いかがおすごしですか?
    CAFUAではこの春から、人が集まることに気を使う状況の中、「いま出来ることをお手伝いしよう」と考え、ソロ器楽曲の楽譜ラインナップを広げて参りました。
    本日は、先頃7月13日に発売致しました、井澗昌樹さんのソロ器楽曲を三つご紹介したいと思います^^

    ◆井澗昌樹作曲「詩曲Ⅰ」(Trb.&Pf.)
    [演奏時間:約10分、税抜4,000円]

    ソロトロンボーンとピアノ伴奏のための作品です。
    CAFUAでは以前から、木管3重奏の「詩曲Ⅱ」をお取り扱いしていて、アンサンブルコンテストでもしばしば演奏される人気作品となっておりますが、“Ⅱ”と題されていることは長らく皆さんの心に疑問を投げかけていたことと思います。「Ⅰはあるのか、どうなっているのか」と…
    この度ついに出版の運びとなった「詩曲Ⅰ」は、タイトルに振られた番号の通り「詩曲Ⅱ」に先立って作曲されました。
    作品が生まれる発端となった動機は(モチーフという意味ではないと思います)、ⅠとⅡで同一・共通のものだということですが、Ⅰの方でより内向きに表現されていると作曲者自身がその解説の中で語っています。
    それについて考えるとき、たとえば、Ⅱは3重奏で、Ⅰは伴奏を伴うソロであるということも、都合が良いというか、マッチしているというふうにも考えられそうです。
    音楽を通じて作曲者や自分の心のうちを深く見つめるとき、静かに集中するには一人でそれを行うのが良さそうな気がしますが、それでもなおピアノ伴奏がありますので、お互い妨げになるのではなく、同じ道を歩く同志のように助け合って奏でる、そのような気持ちで取り組んでみてはいかがでしょうか。
    また、必ずしも“短期で仕上げる”というふうには考えず、時間をかけて向き合う人の心の課題のように、意識のどこかにこの曲の存在を持ち続けて、折々に思い出したように演奏してみるというのも面白そうです。きっと時がたつにつれ、一層深い味わい、新鮮な発見をもたらしてくれることでしょう。

    ちょっと抽象的な紹介になってしまいましたが、他の部分に触れますと、ソロ・伴奏パートともに読譜にまずエネルギーを使うタイプの作品で、その次に演奏すること、合わせることにそれぞれ力を使う上級者向けの作品です。また作品の質として、精神的、抽象的、文学的、哲学的、内向的…このような要素に親しみのある方におすすめです。プレーヤーになにかしらの理解や共感があってこそ、聞く人にも何かが伝わっていくことと思います。

    1曲目から長くなりました(^^;
    次の作品にいきましょう!

    ◆井澗昌樹作曲『詩曲Ⅲ「飛べない」』(Tuba&Pf.)
    [演奏時間:約5分、税抜3,800円]

    こちらはなおレアな、伴奏つきTubaソロ作品となっております。
    「詩曲」シリーズをⅠ、Ⅱ、Ⅲ、と並べてみて、このシリーズに共通するものはなんだろう…と考えるのは面白いテーマですね。楽器ではないし、ソロかアンサンブルかということでもないんですね。
    古典的な音楽の形式にはまらない…といえば、「自由な」という言葉がすぐに思い浮かびますが、今までの作品を見て考えますと、逆に「不自由」という言葉がよさそうです。
    “何か”から不自由である。それは“作曲者の何か”であり、それこそがこの詩曲シリーズに共通する要素なのかもしれません。Ⅳ以降続いていく作品があるのか、どうなるのかも楽しみになってきますね。

    こちらの作品は、残念ながら現状試聴音源などをご用意出来ておりません。それほど、演奏も簡単ではなく、またデモ音源を作成することも容易ではない作品ということで…店頭で楽譜を手に取って見て頂くか、ご購入頂いて、見て音出ししてみて頂くということになってしまうのですが、実は商品の詳細ページで楽譜の画像をクリックして頂くと、スコアの1ページめを見ることが出来ます。
    この作品は特に、楽譜から伝わってくる雰囲気があると思いますので(冷や汗出ますよ~)、ご興味を持たれた方はぜひ見てみて下さいね!それと、現在CAFUA webショップでは販売譜とCDが全品15%割引になるセール中ですので(中にはさらにお買い得な商品もあります)、普段ですとちょっと手を出しにくい「難しそう」「音源がなくてどんな曲か分からない」という楽譜もお求め安くなっております。このチャンスをぜひお役立て下さい^^

    さて、2曲めも長くなってしまいました!最後の曲に参りましょう!

    ◆井澗昌樹作曲「Aflutter」(A.Sax.&Pf.)
    [演奏時間:約7分、税抜3,800円]

    この曲は!全曲通して視聴できる演奏動画をご提供頂きましたので、皆さま是非じっくりとご覧下さいませ(T▽T)
    タイトルは「アフラッター」と読みます。
    作曲者による解説文に比較的分かりやすく書かれていますが、作品の着想ポイントは“心臓”とそれに関わる“言葉”にあります。
    その“言葉”というのがすなわち“atrial flutter”…不整脈の一つである、 “心房粗動”を表す英単語なのですが、さらにここに、作曲者自身が吹奏楽を通して“flutter”という単語と意味に親しんでいたからこそ、これらのイメージが直ちに連結したわけですね。
    「胸を締め付ける息苦しさ(もしかしたら生き苦しさ)」は…字の通り、そのままでは苦しいつらいものですが、少し視点をずらせば、いま生きていることの確かさでもあり、またそれを曲にしたり演奏したりすれば、多くの人に伝えながら芸術として表現し昇華することが出来ます。
    というわけで、「芸術とは、表現とは、いかなるものか?」と考えながら演奏してみると、音符や心臓のこと、息苦しさのことだけにフォーカスするのとはまた違う音楽が生まれそうですね。

    ついつい文字が多くなってしまいましたが、最後までお読み下さりありがとうございます!
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