• ⑭前奏曲と遁走曲 / 天野正道

    Date: 2013.05.31 | Category: 小編成レンタル譜紹介アーカイブ | Tags:

    こんにちは。今日を入れて、残すところあと2回となったこのコーナー、本日ご紹介するのはこちらの作品です!
    前奏曲と遁走曲 / 天野正道
    演奏時間:約6分半 グレード:3
    http://www.cafua.com/products/detail548.html

    遁走曲、って、珍しい言い方ですね? 欧文では「Prelude and Fugue」となります。つまり、「プレリュードとフーガ」。フーガを日本語で言うと「遁走曲」になるんですね! フーガ=Fuga(伊)には、“逃走”という意味があります。

    「プレリュードとフーガ」という形式は、バロックの巨匠J.S.バッハも好んで用いたもので、後世の作曲家も数多くこの形式を用いた作品を残しています。天野氏の完全オリジナルであるこの作品は、「プレリュードとフーガ」の形式に則った、吹奏楽では珍しい作品です。

    天野正道「前奏曲と遁走曲」は、題名からも判る通り描写音楽でも標題音楽でもありません。描写的な音楽が演奏されることの多い昨今では、少し異色に感じられるかもしれません。そこにあるのは描写音楽のような物語やイメージではなく、純粋な音楽の美しさ、あるいは数学的ともいえる音楽の美しさです。

    特にフーガの部分を天野氏は厳格な形式で書いたと話しています。フーガのはじめに提示される「主唱」、5度上方に移調されて現れる「答唱」、それに付随する「対唱」は特に重要です。

    コンクールで演奏をされる際には、他の楽曲とは一味違う存在感を発揮するでしょう。「華やか」とか「元気」などといったキャラクターではなく、音楽の純粋な美しさを表現するとともに、コンダクターもプレイヤーも、全員が「理解して演奏している」ということを音で伝えることが出来れば、清々しくかつ厳かな気持ちで、聴衆に感動を届けることが出来るはずです。

    主な調性はg mollとB durです。調号が同じ、並行調ですね。練習にあたっては、ハーモニーも良いのですが、音組織を意識する意味でのスケール練習や、2声や3声の分かりやすい複音楽の曲を、練習曲として演奏してみるのも良いかもしれません。

    参考演奏を収録したCDはこちら!
    CAFUAセレクション2007「メトロプレックス」
    指揮:加養浩幸・浦川薫
    演奏:航空自衛隊西部航空音楽隊
    http://www.cafua.com/products/detail.php?product_id=186

    CAFUAセレクション2007「メトロプレックス」からは、
    石毛里佳「おもいのことのは」
    福島弘和「走れメロス」も小編成レンタル譜としてご紹介させて頂きました。

    本日は、天野正道「前奏曲と遁走曲」をご紹介しました。明日の最終回はなんの曲!? どうぞお楽しみに!