• 【レンタル新譜】長生淳「Paganini Lost in Wind」のご紹介

    Date: 2012.11.02 | Category: NEWS! | Tags:

    吹奏楽コンクール全国大会に出場された団体の皆様、関係者各位、大変お疲れ様でございました。本日は、東海・愛知県代表の光ヶ丘女子高等学校、および西関東・埼玉県代表の伊奈学園OB吹奏楽団が全国大会で演奏し、両団体とも見事金賞を受賞された、レンタル新譜「Paganini Lost in Wind」をご紹介します。

    paganini_s.jpg
    Paganini Lost in Wind / 長生淳
    レンタル定価33,600円(税込)

    この曲は初め、サクソフォン奏者の須川展也氏から、『パガニーニの「24のカプリス」の終曲の主題を使って』というリクエストと共に長生氏に委嘱されてうまれた、2本のアルト・サクソフォンとピアノのための作品でした(楽譜は全音楽譜出版社より発売中)。
    あたかも、何かを探している…「あるはずのものが今はなくて探している」といった、ミスティックな冒頭部分に始まり、曲を通じて、その「何か」をどこまでも追い求めのぼりつめていくかのような、そのような意思を感じられる作品ですが、その理由は長生氏自身による解説文をお読み頂くとよくお分かり頂けると思います。

    解説文に登場する“菱山修三”という人物は、昭和時代の詩人で本名は本居雷章といいます。明治の東京都新宿区にうまれ、58歳の若さで亡くなりました。発表した詩集に、処女作の「懸崖」、ほか「荒地」「望郷」などがあります。
    長生氏がこの曲の制作に取り組む時、菱山氏による詩の一節がその意識の中にありました。
    『「Paganini Lost」の世界観をより深く理解したい』と思うとき、菱山氏の作品に触れてみるのは一つの良い方法です。「喪失と追求」、「落ちながら昇る」という感覚の一端を垣間見ることが出来るでしょう。

    とはいえ、終始「喪失と追求」だけではちょっとつらいかもしれませんね。
    “I will show you…”とでもいう声が聞こえてきそうな、
    懐かしくて明るく、温かな「何か」がふと見えるような気がする、そんなパートが中間部に配されています。
    悩みや苦しみも多い探究の道中にあって、この中間部を効果的に演奏することは一つのポイントになるのではないでしょうか。

    演奏の、技術的難易度が高いことは、作曲者自身も認めるところです。
    しかし、「楽曲の持つ真の意図を伝える」ということ、「苦しいのは自分ひとりでなく皆がそうなのだ」という思いを胸に、ではそのためにどうするのか? 冷静に、積極的に、考えながら取り組んでいただければ幸いです。
    きっと、何物にも代えがたい達成感、感動に出会うことが出来るでしょう。

    長生淳作曲「Paganini Lost in Wind」は、こちらのCDに収録されています。

    09192027_5059ac07e8a63.jpg
    CACG-0194
    長生淳 パガニーニ・ロスト・イン・ウィンド
    定価2,800円(税込)

    2012年度全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した、光ヶ丘女子高等学校吹奏楽部による演奏です。
    他ではなかなか聴けない作品に取り組んだ、意欲にあふれた1枚となっております。
    ぜひあわせてお楽しみください。

    楽譜事業部
    高橋